VOL.1 お灸の歴史


vol.1 お灸の歴史

お灸は、今からおよそ2000年前、北方民族(中国・漢民族の北方のモンゴル高原とその周辺で遊牧生活を送る諸民族の総称)の独自の医療として誕生しました。北方民族は、素朴な生活の中で、人間の生涯というものを「生まれたときは赤ん坊、即ち熱の塊から徐々に年老いて冷たくなり、硬く動かなくなるもの」と捉えていました。そこで次第に冷たくなっていく身体に、熱の刺激を加えることで、少しでも長生きできるように、と考え出されたのが「お灸」です。


北方で誕生した灸治療は、インドへ渡り、約1200年前、仏教医学として日本に伝わりました。お灸が最も使用されていたのは江戸時代中期で、漢方薬とともに年代かかわらず、体力増進を目的に、民間療法として広く愛用されていました。


明治初期以降は、西洋医学が中心になり、一般的に東洋医学(お灸)が使用される機会が少なくなっていました。しかし近年、慢性疾患への対応や、世界的に高齢化社会へと向かうなか、予防医療である東洋医学(お灸)の必要性が見えてきました。「治療」としての医療から、「予防」としての医療、未病への取り組みが必要とされるようになりました。病気が起こる前の未病の段階で治療することを目指す東洋医学が世界から再び注目されてきています。


病院が症状が出てからいく「治療」するための場所だとすれば、鍼灸院は症状が出る前に行く「予防」するための場所。症状が出て治療に苦しむ前に、予防の段階で、自分の心身と向き合うことで、日々の健やかな生活を送ることができるはずです。「予防医療」に少しでも興味がある方は、鍼灸院で“お灸”や“はり”での治療を体験してみてくださいね。


Herb and Needles / Ayumi Suga